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ヒマラヤ曼荼羅 ~さまざまな世界展~ 開催決定!

ギャラリーヒマラヤンアートには日頃から画像や写真ではなく実物のタンカをじかに見てみたいという多くのご要望がありました。

そしてこの度、テルマタイムでお世話になっている西麻布にあるハイセンスで落ち着いたチベタンギャラリー、ノルブリンカさんで初の展覧会が決定しました!


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開催時期はチベットのお正月(ロサル)にあたり、またチベット文化を洗練した形で現代の日本に紹介し続けているノルブリンカさんのオープン3周年記念にもあたります。


本来、瞑想のための道具であるタンカは美術品であるとともに独自の様式美を持った工芸品でもあります。

日本の琳派やフランスのアールヌーボーのように伝統的な職人技術の上に、それを芸術の域にまで高め、洗練させた独自の美術がタンカです。

ヒマラヤ地方の高い精神性と美意識を感じさせるとともに、卓越した職人技により虫眼鏡を使わなければ確かめられないような細部を有する素直に美しいと思えるタンカたち、そのようなタンカたちを今回は集めてみました。

インドで誕生して、ネパール、チベットで花開き、中国を通って日本にも伝えられた仏教絵画。一堂に並べられた各国独自の仏画を見比べることによって、それぞれの様式の持つ違った美しさをご堪能いただけることと思います。

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開催期間中はチベット医学の医師(アムチ)にヒマラヤンハーブのブレンドを依頼した、心と体に効くアマナマナさんオリジナルのチベタンハーブティーを無料でお楽しみいただくことも出来ます。(運がよければチベタンバタービスケットにありつけることも!?)

また私、牧野が会場にて作品のご説明をすることも可能なので、ご希望の方は事前にヒマラヤンアートのほうまでご連絡下さい。

皆様のご来廊をこころよりお待ちしております。


開催地: Tibetain Art Gallery NorbuLinka  
ホームページ http://www.norbu-lingka.com/
アクセスマップ http://www.norbu-lingka.com/about/access.html




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インド・チベットの法具 ドルジェ・プルパ

ヒマラヤ地方で独自の発展をした、すぐれた美術工芸品はタンカだけではありません。

熟練の彫金技術から生まれる彫像や法具の中にも素晴しい作品が数多くあります。

これはチベット仏教ニンマ派が伝える本尊の一つドルジェ・プルパをかたどった法具です。

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この作品は今から100年くらい前に作られたもので、もとはインドのガントクに住むシッキム王室の貴族が所有していたものです。

古来からシッキムはチベット、インド、ネパールの交易の中継地とした栄えた場所でおのずとすぐれた美術品や技術者が集まってきました。

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この作品もチベット人の手によって作られたものでなく、カトマンドゥから移住したネワール職人によって製作されたものです。

銀製のボディーの上には同じ銀を使ったモールで細かい飾装がほどこされ、その上から金メッキが塗られています。

中央にある金剛(ドルジェ)にはトルコ石と山珊瑚が用いられています。

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三面ある顔には同じくラピス、山珊瑚、トルコ石が用いられ、宝冠にはエメラルドとスタールビーがちりばめられています。

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下部のマカラ魚(チュシィン)の顔にはタイル状のラピスが貼り付けられ、目の部分は白い猫目石が使われ眼球と黒目が表現されています。

口から飛び出している矢先にはヒマラヤ山脈特産の苔水晶が贅沢に使われています。

もともとプルパは鉄で製作されることが多い法具ですが、これは高名なラマにドルジェ・プルパの灌頂を依頼する際に作られた特別なプルパのようです。


出会い(2)

先日、近くにある根津神社の節分祭に行ってきました。

暦の上ではもう春ですがまだまだ寒い日が続きます。

皆さんいかがお過ごしでしょうか?


さて今日は前回お話したサラスワティとの出会いの続きです。

>>出会い(1) (http://himalayanart.blog21.fc2.com/blog-entry-6.html

彼の描いたカーリー女神は今まで僕が見たどんなタンカよりよりも細密で、それでいて全体のバランスを失わない素晴しいものでした。

僕は驚いてタンカ屋の彼にもっと彼の絵を見たい、今の自分にこの絵を買う余裕はないがもし、これと同じようなタンカをもっているのならもっと見せて欲しいと頼みました。

彼は同じタンカに対する情熱を僕に認めたのでしょう。

ニヤリと笑って、分かった、ついて来い、といって店の扉に鍵をかけ、旧王宮広場のほうに向かって歩きだしました。

王宮広場を抜け、ネパール建築独自のレンガ造りの家に囲まれた細い迷路のような路地を進み、一軒のほの暗い家の中に案内されました。

急な階段を上り2階に着くと、そこに三重に施錠された大きな扉がありました。

湿気と老朽のため、歪んでしまった扉を彼が苦労して空け、かび臭い室内にある裸電球をともすと、そこには値段がつけられないようなアンティークタンカや現代の有名作家の作品が所狭しと置かれていました。

譲ることは出来ないが、という条件付で彼のプライベートコレクションを僕に見せてくれたのでした。

どれも素晴しいタンカたちでした。

何よりそうした素晴しい作品たちに対する彼の限りない愛と誇りを感じられるコレクションでした。

僕は時間を忘れてそのタンカたちを一点一点心ゆくまで鑑賞しました。

その中にひと際、鮮烈で気高い空気を放っていると感じるタンカがありました。

それがこのサラスワティです。

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彼にそのことを伝えると満足そうに微笑みました。

それから彼とこのタンカの美しさと作者であるウダイ・チャラン・シュレスタの卓越した技術、こうした芸術を生み出したネワール族の素晴しい美意識について心ゆくまで語り合いました。

同じ感性をもち、同じものを美しいと感じ合える彼との会話は僕にとって至福の時間でした。とても興奮していたのを覚えています。

その時はまさか将来自分がこのタンカを日本に持ち帰ることになるとは思いませんでしたが、多くの人たちとこの美しいタンカを見た時の深い感動を共有したいと強く思いました。

このタンカとの出会いこそが僕がこのギャラリーを始めようと思った原点に他なりません。



Gallery HIMALAYAN ART 牧野