出会い(1)

ネパールやチベットの仏画の話をする時、よく”出会い”という言葉を使います。
たまたま入った仏画屋で見かけた1つの作品が忘れられなくなり、夢の中まで出てくる。これはもう完全に”出会ってしまった”状態です(笑
僕とこのサラスワティとの”出会い”はこんなふうに始まりました。
ちょうどネパールでの生活もひと段落つき、本格的な帰国に備えて荷造りやら何やら身の回りの整理をしている頃でした。
日本の知り合いのためのお土産を探してカトマンドゥの街をぶらぶらしていた時、急に独特のイントネーションで「こんにちは」と1人のネパール人に声を掛けられました。
ヒマラヤ目当ての観光客が主な収入源のネパールでは英語や日本語を話せるネパール人は珍しくありません。安くてよいタンカ(仏画)があるからお土産に買っていかないか?というのです。

広さが2畳ほどしかない彼の店内や軒先には、所狭しと観光客目当てのお土産用のタンカが並べられていました。
ちょうど時間もあったし、普段から仏画屋を冷やかすことが趣味(笑)であった僕はチャイ(ミルクティー)の一杯も出るであろうことを期待して言われるままに、その狭い彼のお店に入っていきました。
仏教の勉強を長い間していたので、描かれているマンダラや尊格の意味をよく知っている僕と話をするとたいていの仏画屋さんは驚いて目を丸くしてしまいます。観光客目当に商売としてタンカを売っている彼の仏画に対する知識はお世辞にもすばらしいとは言えません。
何も知らない観光客の振りをしていると、彼は次から次にお土産品のタンカをかなり吹っかけた値段で勧め始めました。
僕は彼の話を聞くとはなしに聞きながら店内のタンカを眺めていました。
そしてその中の一枚のタンカに目が留まりました。それはヒンドゥー教の神であるカーリーを描いたものでした。
彼にその絵を見せてもらえないかと言うと、彼は見せてもいいがその絵はお前が買える値段ではないと言いました。
彼に渡されたその絵を真近で見た時、その絵が今まで見たどのタンカよりも細密であることに驚かされました。そして次に彼の口から出たネパールの物価では考えられないとんでもない値段に驚かされました。
それがネワール人作家、ウダイ・チャラン・シュレスタの作品を初めて見た瞬間でした。
>>出会い2(http://himalayanart.blog21.fc2.com/blog-entry-10.html)へ続く
Gallery HIMALAYAN ART 牧野
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NEVER MIND
今日は少し雑談です。
一般的な男子高校生の他聞にもれず、ボクもその頃はロックミュージックという麻薬のような音楽に夢中でした。
そんなある日、何気なく見ていたMTVでたまたま演奏していたシアトル出身の浮浪者のようなバンドにボクは一目で恋に落ちてしまいました。
そのバンドの名前は「ニルヴァーナ」といいました。
それまでパンクかへヴィーメタルしか知らなかったボクは、これまで聞いたことのない退廃的で甘いメロディーに夢中になってしまいました。
そして街に1つしかないレコード屋に自転車を走らせて買いにいったのが、この1991年に発表された彼らの2ndアルバム「ネバーマインド」です。

アルバム自体の出来もさることながらジャケットのひねりを効かせたアートワークも、彼らの音楽性とあいまってとてもクールにみえました。
ネパールにいた時もヴィザの延長などでカトマンドゥの中心にある西洋人たちが集まるタメル地区に行くと、海賊版レコード屋の軒先にこの1ドル札に釣られる赤ちゃんのジャケットが無造作に山積みにされているのをよく見かけました。
ボクにとってとても思い入れのあるアルバムです。
そしてこの青年

お分かりですよね? この青年こそアルバムのジャケットの赤ちゃんの現在の姿です。
どことなく面影が残っていて思わず微笑ましくなります。
彼はデザイン事務所で働いている現在でも”ニルヴァーナ・ベイビー”と呼ばれる人気者だそうです。
感慨深い反面、20年という時の流れをダイレクトにぶつけられたような気がしました。
Gallery HIMALAYAN ART 牧野
一般的な男子高校生の他聞にもれず、ボクもその頃はロックミュージックという麻薬のような音楽に夢中でした。
そんなある日、何気なく見ていたMTVでたまたま演奏していたシアトル出身の浮浪者のようなバンドにボクは一目で恋に落ちてしまいました。
そのバンドの名前は「ニルヴァーナ」といいました。
それまでパンクかへヴィーメタルしか知らなかったボクは、これまで聞いたことのない退廃的で甘いメロディーに夢中になってしまいました。
そして街に1つしかないレコード屋に自転車を走らせて買いにいったのが、この1991年に発表された彼らの2ndアルバム「ネバーマインド」です。

アルバム自体の出来もさることながらジャケットのひねりを効かせたアートワークも、彼らの音楽性とあいまってとてもクールにみえました。
ネパールにいた時もヴィザの延長などでカトマンドゥの中心にある西洋人たちが集まるタメル地区に行くと、海賊版レコード屋の軒先にこの1ドル札に釣られる赤ちゃんのジャケットが無造作に山積みにされているのをよく見かけました。
ボクにとってとても思い入れのあるアルバムです。
そしてこの青年

お分かりですよね? この青年こそアルバムのジャケットの赤ちゃんの現在の姿です。
どことなく面影が残っていて思わず微笑ましくなります。
彼はデザイン事務所で働いている現在でも”ニルヴァーナ・ベイビー”と呼ばれる人気者だそうです。
感慨深い反面、20年という時の流れをダイレクトにぶつけられたような気がしました。
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